勝負の世界に身を置く「松坂世代」が、北の大地にいる。全日本大学野球選手権で、北海道網走市にある東農大オホーツク(北海道)が初めて4強に進み、15日、準決勝に臨む。チームを率いるのは、延長十七回、松坂(現中日)との激闘を知る大阪・PL学園高のOBだ。
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三垣(みがき)勝巳監督(39)は、1998年の全国高校選手権準々決勝で松坂を擁する横浜高に7―9で敗れた。三垣監督は6番一塁手で先発し、7打数1安打1打点だった。2回戦の岡山城東戦では九回に決勝のソロ本塁打を放っている。東農大生産学部(現・東農大オホーツク)に進み、社会人野球などをへて一昨年12月、母校の監督に就任した。
実行すること、やり抜くことの大切さを言い聞かせて鍛えてきた。自身の高校時代の経験を話すこともある。「選手には『こちらは引き出しの中を全部さらけ出す。そこから引き出したものを人に返していくんやぞ』と言うてます」
チームは2年ぶり16回目の出場で、過去最高だった97年の8強を超えた。その戦いぶりはしぶとい。1回戦で近大工学部(広島六)を延長十回タイブレークの末に6―5で破り、2回戦は優勝経験のある大体大(阪神)に3―2で逆転勝ち。準々決勝は城西国際大(千葉県)に8―1で七回コールド勝ちした。「(選手は)少しずつ強さを身につけてくれていると思います」。三垣監督の手応えは小さくない。
PL学園高時代の仲間たちとやりとりしているLINEには、メッセージがたくさん届く。「『おめでとう』というのもあれば、『顔こわいで』というのもあります」と笑う。1回戦に勝った後には、当時主将だったプロ野球楽天の平石洋介監督が「三垣とは主将、副主将の間柄でした。舞台は違いますが、同じ監督として頑張っている姿に勇気をもらってます」とのコメントを出した。
準決勝の相手は東京六大学王者の明大。「逃げて何も残らない試合にはしたくない。勝とうが負けようが、『あれが足りない』『これが足りない』ということが分かる試合になれば、それでいい」(竹田竜世)