高校野球の春季関東大会は23日、さいたま市の県営大宮球場で決勝があり、東海大相模(神奈川)が東海大菅生(東京)を7―3で下し、初優勝を果たした。東海大相模は一回、鵜沼(2年)の先頭打者本塁打などで3点を先行。中盤にも加点し、小刻みな継投でリードを守った。
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この春、東海大相模は「育てながら勝つ」を実践した。屈指の名門が見据えているのはむろん、夏。全国選手権神奈川大会には例年、190近いチームが出場する。「夏は最低でも投手が4、5枚はいる」と門馬監督。
ベンチ入り18人の今大会、投手ができる選手を7人も登録した。1回戦は、高校通算40本塁打の中心打者、遠藤(3年)を先発させた。1年ぶりの公式戦登板となった遠藤は八回途中1失点の好投で、エースナンバーを背負う右横手の紫藤(しどう)(3年)につないだ。
優勝候補同士の対決となった決勝の先発を託したのは1年生左腕の石田。計4投手を惜しみなく注ぎ込み、最後は紫藤が締めた。計5試合で6人がマウンドを踏んだが、門馬監督は「まだこれから入れ替えもあるかもしれないし、さらなるプラスもあり得る」。
「春」を単に経験の場ととらえない、勝負へのこだわりも垣間見えた。準決勝の山村学園(埼玉)戦。1点を追う七回無死満塁で併殺崩れの間に1点をもぎとった。このとき、遊ゴロを打った松本(2年)は一塁にヘッドスライディングし、セーフになると強く拳を握った。「セーフになれば一、三塁。一、三塁ならまだ走塁などで仕掛けられるので」
遠藤は言っていた。「絶対にこの関東で優勝しようとみんなで言っている。ここで勝たないと甲子園で優勝はできない」。松本も言う。「負けて気づくこともあるけど、それでは遅い。だから勝ちにこだわった」
春の時点で、その強さと層の厚みは際だった。2015年、2度目の全国制覇を果たした。それ以来の代表を目指す夏の神奈川大会開幕は、約1カ月半後に迫る。(竹田竜世)