高校野球の春季北信越地区大会が1日、富山市民球場などで開幕した。今春の選抜大会に出場した星稜(石川1位)が1回戦に登場し、砺波工(富山3位)を6―0を下した。最速151キロ右腕の奥川恭伸(3年)が先発し、6回2安打無失点と好投した。
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白い歯がのぞく。マウンドに立つ奥川はうれしそうだった。春の選抜2回戦以来、約2カ月ぶりとなる公式戦の登板。「立ち上がりは久々の緊張感がありました」と打ち明けたが、そうは見えない投げっぷりだった。
直球が外角低めに走る。三回まで安打を許さず、6奪三振。「徐々に力が抜けていって、イニングを重ねるごとに(打者の)見え方もよくなってきた」と奥川は振り返る。肩も温まったのか、四回にはこの日最速の150キロをマーク。スライダーなど変化球の制球も抜群だった。
石川県大会で登板しなかった理由を、指揮を執る山下智将部長が明かす。「右肩がいつもと違う感じだったようで、大事をとりました」。奥川はコンディションを整えながら、ベンチで仲間のサポートに専念。その間、こう考えてきた。「自分がいなくてもチームが勝ち進めたのに、自分が投げて負けたら意味がない。そういうプレッシャーを自分にかけてきました」。エースの自覚を深めて臨んだ北信越大会の初戦だった。
「力んだ球もあったけど、7割、8割の力で投げられた」。振り返る奥川の表情は、明るい。「夏までもう2カ月を切っている。やれることをしっかりやって、最後の夏は楽しみたい」。そのための再始動は、うまくいったようだ。(小俣勇貴)