漁師の数が減り続ける漁業界で、漁師の子どもでない都会の若者たちが将来の担い手として熱い視線を浴びています。東京・秋葉原で開かれた新人漁師を発掘するための「就業支援フェア」には過去最高の来場者が訪れ、漁師の仕事に「関心を持つ人が増えている」と実感する関係者もいます。漁業の未来への切り札になるのでしょうか。
銀鱗(ぎんりん)がやわらかな日差しを浴びてきらめく。5月下旬の早朝。魚市場のある山口県萩市の漁港で、アジやサバの水揚げ作業が始まった。
漁船の水槽から、直径1メートルほどの玉網で魚をすくい上げて選別台に運ぶ。漁師たちは魚種やサイズ別に手際良く分別し、出荷用のトロ箱に入れていった。
その中にひときわ若い漁師がいた。
大阪府出身の川島知希(ともき)さん(18)だ。人口約700人の離島・大島(萩市)を拠点とする巻き網船団「萩大島船団丸」に、3月から加わった。作業の合間に声を掛けると、日焼けした顔をほころばせて言った。
「たくさん魚がとれた時の充実感は格別。日々やりがいを感じます」
なぜ、日本海の離島に移り住んでまで漁師になったのか。
府内の大学付属高校3年の時、…