東芝が100%出資する主要子会社にこの春、新しい部署ができた。そこには希望退職に応じなかった社員らが集められ、社内外の多忙な工場や物流倉庫で単純作業を命じられている。東芝は「適切な再配置先が決まるまでの一時的措置」だと説明するが、社員からは「退職を促す追い出し部屋だ」との反発が出ている。
新部署は、発電所向けの設備をつくる東芝エネルギーシステムズ(川崎市)が4月に設けた「業務センター」。東芝や関係者によると、所属する約20人は、それまで技術管理や営業、事務などの仕事をしていた。同システムズは火力や原子力など発電所の需要低迷を理由に、勤続10年以上で45歳以上を対象に3月末での希望退職を募集。上司に応募を促されながら拒んだ社員らが配属されたという。
複数の社員によると、4月中は研修として社外の人材コンサルタントらの講義を受け、経営環境の厳しさを理解し、配属を前向きに考えるよう求められた。自分を省みて変えるべき点を同僚に表明し、作文にもまとめたという。
その後、各社員に対し、応援先として新潟県の電池工場やグループ外の物流倉庫が示された。5月からそこに出向き、運搬や仕分けなどの作業を命じられている。応援先は半年後に見直されるという。
若い働き手にまじって作業をしている男性は「不慣れな肉体労働で疲労がたまる。こんな作業を続けていても先が見えない」とこぼす。別の男性は、原発事業の失敗による経営危機を振り返り、「同僚が次々と他社に移るなかでも、自分は残ってがんばってきた。なぜこんな仕打ちをうけるのか」と憤る。
東芝には過去にも同じような部…