長崎県佐世保市の九十九島水族館海きららに、体長が37センチで、重さ2キロを超える「巨大イセエビ」が寄贈された。佐賀県の男性が、長崎県の離島、五島列島で釣り上げたという。
釣り上げたのは佐賀県嬉野市の自営業、田中信之さん(42)。長崎県新上五島町の五島列島の岩場で1日夕、ピンと張った釣り糸に手応えを感じた。最初は仕掛けが海底に引っかかる根掛かりかと思ったが、予想以上の引きに「凶暴なウツボが掛かったのか」とリールを巻き上げた。海面に現れた姿を見て、信じられない思いだったという。
田中さんが釣り上げたのは、仲間の追悼釣り大会でのことだった。自宅に持ち帰り、「何年生きてきたんだろうか? 故人が釣らせてくれたのかもしれないなあ」などと思いを巡らせていると、食べる気が起きない。1晩たっても元気なエビを見て、水族館への寄贈を思い立ったという。「夏休みも近いし、大勢の子どもたちに見てもらいたい」
海きららの鶴留司さんは田中さんから連絡を受け、3日に嬉野に引き取りに行った。イセエビは通常、重さ200~300グラムだが、このエビは2・16キロの雄。体長も通常の約1・5倍の37センチあった。「『マジか!』と。あんまり大きくて、思わずにやけた」
公開を始めた海きららによると、記録に残る過去最大のイセエビは三重県の鳥羽水族館にいた2・33キロ、体長38・5センチ。わずかに及ばない。「1キロ増えるのに10年近くかかるとも言われるが、うまく餌付けできれば日本最大になるかも」と鶴留さんは期待している。(原口晋也)