9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で、日本協会A級レフェリーの久保修平さん(38)が日本からただひとり、副審として審判団に選ばれた。1999年大会以来、日本から20年ぶりの選出。「将来は主審でW杯」という誓いを胸に秘め、ピッチに立つ。
ラグビーワールドカップ2019
国際統括団体ワールドラグビー(WR)が主審12人、副審7人、ビデオ判定の補助4人を選んだ。久保さんはW杯全48試合のうち、数試合を担当することが見込まれており、「W杯がどんどん近づいていると実感する」と話す。
日本協会が2005年、世界に通用するレフェリーを育成しようと創設したアカデミーの1期生だ。20歳代の若手審判を毎月1回集め、2年間かけて集中的に育成し、30歳代で世界に羽ばたかせるねらいがある。世界では若手審判が活躍する。日本が競技レベルを向上させ、世界に追いつくには、優秀な審判の育成が急務だった。
「走れないと話にならないから、最初はとにかく走りなさい、ラグビーの知識を高めなさいと教わった」。その教えは今も生きている。14年に教職を辞め、レフェリーに専念。専属トレーナーを雇い、週2回のランニング、筋トレで鍛える。
走って息が上がった状態で英語で判定を正しく説明できているか、自身の姿も撮影してもらうことも。一緒に組むことになるかもしれない審判の判定の傾向をつかむため、世界のラグビー事情を知るため、試合を逐一チェックする。
日本代表の合宿にも同行することがあり、実戦形式の練習を支える。ジョセフヘッドコーチが「久保さんのようないい審判が来ることで質問できるし、練習の質も上がる」と話すように、チームからの信頼も厚い。久保さんは「選手だったら可能性が0%の日本代表に関われるのは光栄」と話す。
W杯ではいつも通りに丁寧な準備をし、平常心で臨むことをめざしている。「副審として主審がいい笛を吹けるようにサポートしたい。ただ、本音では主審で選ばれたかった。タッチライン際から、主審がゲームの真ん中でどう振る舞っているか見届けたい」。久保さんのW杯デビューは、新たな目標への実現に向けた第一歩でもある。(能田英二)
ラグビーW杯に選出された日本人審判
1991年大会
八木宏器(副審)
95年大会
斉藤直樹(主審)
99年大会
岩下真一(副審)
2019年大会
久保修平(副審)