沖縄戦の戦没者追悼式では、糸満市立兼城(かねぐすく)小6年の山内玲奈さん(11)が「平和の詩」を朗読した。タイトルは「本当の幸せ」。毎日見ている糸満市の景色をモチーフにしたという。
「海や大地や空が何を思ったのか」山内さん平和の詩全文
子どもたちが受け止めた沖縄戦 「平和の詩」でたどる
74年前の沖縄戦。本島の南端にある糸満市は、日本軍や住民が追い詰められ、多くの人が犠牲になった場所だ。目の前に広がる美しい景色はそのとき何を見たのか――。
〈爆弾が何発も打ちこまれ/ほのおで包まれた町/そんな沖縄を見たのではないだろうか〉
5月に訪れた平和祈念資料館で見た射殺された子どもの写真から、惨状を想像した。同世代が命を絶たれた戦争の現実に、「平穏な毎日はとても幸せなことだと気づいた」と話す。
祖父が昨年亡くなった。沖縄戦の話は聞けないままだった。戦争の記憶を受け継いでいく覚悟も込めた。
〈戦争の悲さんさを/(中略)伝え継いでいくことは/今に生きる私たちの使命だ〉
追悼式終了後、山内さんは記者団に「おじいちゃんの平和を願う心を自分の言葉で伝えられるように読めたと思う」と話した。(藤原慎一)