医師を装い、無資格で切除や縫合などの医療行為をしたとして、千葉県警は27日、同県鎌ケ谷市鎌ケ谷9丁目、無職下條康司容疑者(54)=保健師助産師看護師法違反罪などで起訴=を医師法違反容疑で再逮捕し、発表した。黙秘しているという。昨年12月から今年4月まで、医師を装って処方箋(せん)の作成や触診などの医療行為を500回以上行っていたとみられる。
生活経済課によると、下條容疑者は1月28日ごろから2月12日ごろ、同県佐倉市の介護老人保健施設で、医師の資格がないにもかかわらず、入所者の90代女性に対し壊死(えし)した組織の切除や局所麻酔を行ったほか、80代男性には死亡診断や死亡診断書の作成を、80代女性には左下腿(かたい)部切創の縫合や抜糸をそれぞれ行った疑いがある。
下條容疑者は昨年12月3日から今年4月18日まで、この施設の施設長兼医師として勤務。問診や触診など500回以上の医療行為を行い、約300万円の収入を得ていたという。
下條容疑者は転職支援サイトに登録し、かつて事務員として勤務していた施設で入手した他人の医師免許証のコピーに、他人の看護師免許証に1人ずつ割り振られた番号の「籍」のコピーを貼り付けた画像を送るなどして偽装。この施設側には、勤務開始後に偽造した医師免許証のコピーを提出していた。
県警は、少なくとも十数年前から医師や看護師などを装い、都内や県内の特別養護老人ホームや医療機関など十数カ所を転々としていたとみており、今後余罪についても調べる。(多田晃子)