シャープの株主総会が25日、堺市の本社で開かれ、金融支援が終了し、経営再建が事実上完了したことが報告された。だが、再建を支えてきた中国事業にブレーキがかかり、成長戦略も描ききれていない。総会で続投が決まった戴正呉会長兼社長には、重い課題がのしかかっている。
2016年8月に親会社の鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)から派遣されて社長に就任した戴氏は、徹底したコスト削減や、鴻海の販売力を活用することで、予想を上回るペースで業績を改善させた。就任直後の17年3月期には営業黒字を3年ぶりに達成し、17年12月には東証1部に復帰した。
さらに、経営危機に陥った際、金融支援と引き換えに主力銀行に発行した優先株も今月、すべて買い入れて、消却した。戴氏は株主総会で「これからのシャープは正常で自由な経営になる」と再建完了をアピールした。
しかし、成果を誇ったのはそこまでだった。株主から中国事業について厳しい意見が相次ぐと、戴氏は「失敗した」と認めた。主力のテレビ販売で、シェア拡大を焦るあまり値下げ競争に巻き込まれた。売れ残りも大量に出たため、19年3月期は2年ぶりの減収に陥ったのだ。
戴氏は今後、自ら陣頭指揮を執り、販売網の再構築に乗り出すと表明。欧米での事業拡大を強調した。
だが、世界市場は今や、韓国や…