神戸学院大は27日、薬学部の30代の助教が2017年までに発表した論文10本で、データの改ざんがあったとする調査結果を公表した。助教は不正行為を認めており、すでに退職している。調査委員会は改ざんがあった論文の取り下げを勧告した。
京大教授、論文不正 熊本地震の図、改ざん・盗用
調査報告書によると、18年5月に学生から、データの改ざんの疑いを指摘する相談が薬学部長にあり、論文24本について調査委が不正の有無を調べた。その結果、09~17年の論文10本で、データの数値を操作する改ざんが見つかった。マウスに薬を投与した際に血中の物質がどう変化するかといった実験などで、論文の主張に沿うようにデータが操作されていた。
聞き取りに対し、助教は「研究成果を出さないといけなかった」と精神的にも追い詰められていたことに加え、夜遅くまで帰れないという雰囲気が研究室内にあり、家庭との両立ができないことに悩んでいたなどと説明したという。助教は昨年7月末に退職した。
また、調査委は論文の責任著者の教授(58)についても、改ざんには関わっていないものの元データを確認するという注意義務を怠ったと認定した。大学は処分を検討している。