鯨肉などの販売を目的にした「商業捕鯨」が1日、31年ぶりに日本で再開しました。日本は6月30日に国際捕鯨委員会(IWC)から脱退して再開に踏み切っており、海外からの批判もあります。世界には、日本人のほかにも、クジラを食べる人たちがいるなかで、捕鯨文化研究が専門の園田学園女子大学短期大学部の浜田尚教授は、日本の戦略のまずさを指摘します。なぜなのかを聞きました。
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――クジラを食べる文化は、海外にもありますか。
鯨肉の主な消費国は、アイスランド、ノルウェーに日本を加えた3カ国です。アイスランドやノルウェーは、日本向けの輸出もしています。他にも、米国やロシア、デンマーク領のグリーンランドなどの先住民族、カリブ海の島国セントビンセント・グレナディーンやインドネシアにも鯨肉食の文化があります。
ただ、クジラは食べるためだけに利用されてきたわけではありません。採算が取れずに廃れてしまいましたが、かつてはクジラの油(鯨油)がセッケンやマーガリンの原料として使われていました。
――過去にはこうした国々以外でも捕鯨が行われていたのですか。
捕鯨はもともと、肉や油を目的に世界中で行われていました。例えば、幕末のペリー来航は捕鯨と大きく関わっています。ハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」でも有名ですが、かつて米国は大きな帆船に数十人を乗せ、そこに小型の木造ボートを積み込んで捕鯨をしていました。主にマッコウクジラを追いかけ、木造ボートから手投げ銛などで捕獲していたのです。油が目的なので肉は捨て、また別のクジラを探す、という方法で世界中を航海していました。ペリーが日本に開国を迫ったのも、長い航海を続ける捕鯨船に食料や水を補給する目的もあったとされています。
――しかし、現在では米国も反捕鯨の動きに加わっています。
既に鯨油が利用されなくなって…