タイの総選挙で反軍事政権を掲げ、新党ながら第3党に躍進した新未来党のタナトーン党首(40)がこのほど、朝日新聞のインタビューに応じた。軍政下で定められた憲法や選挙制度では「民意を反映できない」として、改正を目指して全国で訴えていく意向を明らかにした。
同党は、民政移管に向けた3月の総選挙(下院、定数500)で81議席を獲得した。タナトーン氏は6月5日の首相指名選挙で、反軍政派7党の統一候補として軍政のプラユット暫定首相と争ったが、軍政が事実上任命した上院議員250人も投票に加わり、プラユット氏が新首相に選ばれた。
タナトーン氏は、憲法などで定められた今回の選挙制度は「いかに軍政を(事実上)継続させるかだった」と指摘。有権者に選ばれていない上院議員の首相選出への関与が問題だとして、これを定めた条項の改正を最優先に位置づけ、改憲を求めていくとした。
議会は親軍政派が多数を占めるため、「おそらく議会は通過しない」としながらも、「有権者に何が障害かを示す機会にしたい」と述べ、全国を巡って憲法改正の重要性を訴える考えを示した。「いつかは、憲法の全面改正ができるだろう」とも述べた。徴兵制度の廃止や地方分権、格差是正にも取り組むことも明らかにした。
新未来党が支持された理由については「軍政下で抗議行動すら禁じられた状況に人々は怒っており、チェンジ(変化)を求めた」と分析。同党は対立を繰り返してきたタクシン元首相派と反タクシン派、さらに中間派だった層からも支持を受けているとし、従来型の政治からの変化への期待も支持につながったとした。
一方で、総選挙で親軍政政党も…