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「LINEミーティング」で励まし合う 芽生えた感謝

午後8時過ぎ、徳島県阿波市の阿波高校野球部の捕手、村田和至君(3年)が自宅で風呂上がりにスマートフォンを手にした。メッセージアプリLINEの通知がある。天満翼主将(3年)からだ。


ニュースや動画をリアルタイムで!「バーチャル高校野球」


明日からは感謝パワー全開の1週間。毎日の生活にありがたさを感じることを意識しよう!


選手やマネジャーらのグループ「甲子園とは今」への投稿。鳴川真一監督(43)の発案で2015年にできた。投稿は午前6時から午後10時まで▽問いかけには必ず誰かが反応する、というルールを守れば内容は自由。マネジャーが試合のスコアやプレー写真を投稿すれば、技術向上担当の選手はネットで見つけた動画をコメント付きでアップする。話題は野球だけではない。


「冬休みの宿題は早め早めに」「明日やろうは馬鹿野郎の精神やな!」


「明日は30度越えの予想。朝食には具だくさんのみそ汁を食べて試合に臨もう」「わかりました。コンディションを整えます」


やりとりは100通近くになる日も。さながら「LINEミーティング」だ。



村田君は投稿で励まされた経験がある。


昨秋の県大会後、相次ぐけがに悩まされた。痛めた肋骨(ろっこつ)をかばってひじを痛め、ランニングの量を増やすと今度は両脚を疲労骨折した。


ライバル2人との正捕手争いのさなか、3月には社会人野球の練習に参加する予定もある……。「間に合うのかな」


12月の夜、自分の部屋でLINEの通知を受けた。エースの荒井翼君(3年)がネットで見つけた動画を、みんなに見てもらおうと投稿したという。


高校生捕手の特集番組の映像だった。「プロ入りできなければ野球はやめる」と、早朝から監督と打撃練習に励み、寮では率先して掃除や配膳をする。「同じ高校生が上をめざしてこんなに頑張っているんだ」



「けがが治るまでに、捕手の基本動作を見直そうと思います」。大和裕典部長(27)に相談し、捕球から送球に移る時の動きと、送球時の足運びを練習することにした。「キャッチボールのクイックを意識して」と大和部長。基礎練習をひたすら続けた。


3月、やっと投げられるようになると、「肩が強くなった」と実感できた。それまで2秒を切れなかった二塁への送球は、1・8秒台に縮まっていた。


6月14日、荒井君と参加した2度目の社会人野球の練習の2日後、自宅でスマホを手にした。普段LINEに長いメッセージを投稿することはないが、この日は1時間ほどかけて練習の様子や社会人選手の心構えを書いた。前日の自主練習に付き合ってくれた仲間に向けて、「ありがとう」と添えた。


週明けの昼休み、3年生部員が集まる食堂で、村田君の投稿が話題になっていた。「前だったらこんなこと言ってくれんかったよな」「そうやな」


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