何もかもがファンのために創造された「リアルな島での暮らし」だ。ゲームの中で、島にやって来た背景には「現実の生活からの逃避」があり、ゲームが進行すると本当に現実生活からの出口が提示される。
「どうぶつの森」には四季があり、毎日太陽が昇り月が沈む時間の流れがあり、現実世界と同じペースで進んでいく。夜になれば店は閉まり、動物たちはねぐらに帰って眠る。時間や季節ごとに違う生き物が登場し、天気やイベントに合わせて装飾が変わる。北半球と南半球の季節の違いまでも考慮され、北半球と南半球のプレイヤーはそれぞれに合った産物や生態環境が設定されている。それだけではない。「どうぶつの森」は細かいところにも配慮が行き届き、歩く床の材質が異なれば足音が変わり、家の明かりは2種類あり、動物の友だちの前で虫をつかまえると拍手してくれる設定もある。
毎日のノルマをこなし、いろいろな遊び方を試す中で、「どうぶつの森」の世界に隠されたディテールが想像をはるかに超えていることに気づくだろう。砂浜で水をはき出す小さな穴を掘ってみると牡蠣がいたり、木の枝に蓑虫が揺れていたり、蜂に刺されて顔が腫れたり、毒グモに驚いて気絶したり……
現実生活の中で、私たちは身の回りのことは何でも知っていると思い、生活は無限の繰り返しに思える。しかし「どうぶつの森」でもう一度虫や魚を仲間ごとに分け、その習性を追いかけていると、子ども時代に返ったような気持ちになり、あらゆることに強い好奇心を抱くようになる。
ゲームは社会心理の投影であり、社会的な属性と心理の投影がプレイヤーを深く引きつける重要な要素だ。感染症が導火線になった背景には、「旅かえる」と同じように、シンプルでほのぼのとした作風が現代の若者の孤独感、仕事の無味乾燥さ、生活の中で感じる大きなストレスを解消したこと、暮らしの中の「小確幸」(小さいけれど確かな幸せ)を求める心理的ニーズに合致したことがある。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年4月9日