イラスト・きたむらさとし
(悩みのるつぼ)相談者 50代女性
50代女性です。ご子息を亡くした友人のことで相談します。
年明け、高校、短大時代からの友人にメールした際、友人から電話がかかり、20代の息子さんを交通事故で亡くしたと聞きました。彼女は「何も質問しないで」「誰(共通の友人)にも話さないで」と話し、詳しいことはわかりませんでした。
お花だけでも贈らせてもらおうと、その旨をメールで知らせたところ、電話で「まだ息子の死を受け入れられないから、お花も受け取れない」と言われ、あわててキャンセルしました。
短い手紙とメールを送り、ひと言返信があったのですが、2度目は返信がなかったので、そっとしておいて欲しいのだと思い、何もできないまま数カ月が過ぎてしまいました。
私には子供はいませんが、自分の姪(めい)や甥(おい)だったらと思うと、身代わりになれたらと考えるでしょうし、誰とも会ったり話したりする気になれないだろうと想像します。1月17日、3月11日と、大震災でお子さんを亡くされた方々をテレビで見ても、今も受け入れられないと話す遺族がたくさんいて、それが友人の姿と重なります。
本当はほかの友人とも話し合えたらと思うのですが、誰もまだ事実を知らないようで、私から話すことはためらってしまいます。友人の心が少しでも穏やかになるよう、どのように接したらいいかご指南ください。
回答者 政治学者・姜尚中 「いつも一緒よ」と、一言伝えて
とても深刻な質問ですね。
愛する者の死をどう受け止めるのか。またそれを受け入れられない遺族の友人や縁者はどうしたらいいのか。死とそれをめぐる人間の苦悩は、人間の存在そのものにかかわる本質的な問題です。
ただ、具体的に考えてみると、まずあなたは愛息を失った長年の友人の心を少しでも癒やしたいと願っているのに、撥(は)ねつけられるような友人の対応に悩み、友人にどうしたらいいのか、迷っているのですね。おそらく、愛息の死ではなく、自分の親の死であれば、悲しくても、あなたの友人の反応は違っていたかもしれません。あなたの慰めの言葉をそのまま受け入れてくれたはずです。
しかし子供の死は、残された親…