ウェブサイトの「生命樹児童図書網」は4月初めに開設されて以降、53ヶ国のユーザーから約2万回のアクセスがあった。同サイトでは、中国でリリースされた新型コロナウイルス感染防止対策などを描いた児童図書「ウイルスの歴史」、「いつもとちがう春節」、「かいぶつたいじの10の方法」など11冊を、別の言語に翻訳するプロジェクトを実施。各国の子供達が共にウイルスと闘うよう応援している。北京日報が報じた。
2月29日、国際児童図書評議会(IBBY)の張明舟会長は自身のSNSアカウントで、中国の出版関係者に向けて、「もし新型コロナウイルスに関する児童図書を既に出版している場合、国際版権を無償で譲ってほしい」と呼びかけたほか、中国語から別の言語への翻訳に精通している翻訳者に向けて、「無償提供された新型コロナウイルスに関する児童図書を翻訳してもらいたい」と呼びかけた。すると、わずか1ヶ月の間に、出版社約50社と児童図書の作者から版権を無償提供したいと連絡があったほか、十数ヶ国語の翻訳者300人以上が翻訳の意向を示し、彼らは共に世界に向けて新型コロナウイルスに関する児童図書を無償で翻訳し、オンラインで世界の子供達にシェアした。
子供達のストレスを解消し、新型コロナウイルスやその感染状況について知ってもらおうと、中国の出版関係者は絵本や児童詩などの児童図書を続々とリリースしている。張会長は、「新型コロナウイルスに関する児童図書は間違いなくパイオニア。中国の善意を海外の人々に届けたい。子供の頃に互いの心を通じ合わせることができるかは非常に重要で、私たちはその使命を負っている。そのため、2月29日に、新型コロナウイルスに関する児童図書を無償で翻訳するプロジェクトの実施を呼びかけた」と説明する。
各児童図書の裏には、たくさんの翻訳者の名前が書かれている。上海外国語大学高級翻訳学院の呉剛・副院長は、「新型コロナウイルス感染拡大で息が詰まる思いをしている学生が多い。自分の得意分野を生かして、ウイルスとの闘いにおいて少しでも貢献できることを知ったボランティアたちはとても喜んでいる」と説明する。ボランティアは深夜でも微信(WeChat)で連絡を取って相談し合い、各図書の翻訳をほぼ10日間で終わらせた。スペイン語の翻訳チームのリーダを務める、上海外国語大学高級翻訳学院でマルチリンガル通訳を学ぶ張嫣然さんは、「この1ヶ月、みんな心を一つにして協力した。本当に暖かい気持ちになり、感動した」と充実感を漂わせる。
児童図書11冊が、英語、日本語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、韓国語、イタリア語など十数ヶ国後に翻訳された。張会長によると、「マレーシアやパキスタン、モンゴルなどの出版社が、それら児童図書をマレー語やウルドゥー語 、モンゴル語などに翻訳したいとの意向を示している」という。その他、世界最大の電子図書館サービス「Over Drive」は同プロジェクトで翻訳された児童図書を、78ヶ国の4万5000ヶ所の図書館で展示し、世界中の読者が無料で読むことができるようにするという。
張会長を感動させたのは、国際アンデルセン賞画家賞を受賞したブラジルのイラストレーター・ホジェル・メロ氏が生命樹児童図書網のポスターをデザインしてくれたこと。海外の児童図書作家も次々と参加しており、キプロスのある児童図書作者が「誰が王冠を盗んだのか」を書き上げ、その国際版権を無償で提供し、キャンペーンを企画してキプロスでイラストレーターを募っている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年4月15日