SF作品「アイアンマン」が現実になろうとしている。中国航天科工集団第二研究院206所によると、中国の科学研究チームは敏捷型無動力パワードスーツの開発に成功し、このほど第1弾を引き渡した。このパワードスーツは高標高と山間部のパトロールや物資輸送などを補助し、使用者の体力消耗を抑える。筆者は10日、同研究所の人体機能増強技術研究開発センターを訪れ、自らこのパワードスーツを着用し利便性を確かめた。環球時報が伝えた。
同研究所の張利剣副総師によると、今回引き渡された敏捷型無動力パワードスーツは登攀や重量物運搬の際に体力消耗を5−10%抑える。直立不動の状態だと、7−8割の力が直接地面に伝わり、効果が非常に顕著だ。例えばこのパワードスーツは25キログラムの負荷を受けながらダッシュできる。このシステムに弾性エネルギー貯蔵の機能があり、使用者の体力消耗を抑えるからだ。
また、多くの炭素繊維材料を使用しているため、このパワードスーツの重さは4キログラムしかなく、そして断裂しにくく衝撃に強い。山間部で使用する際には、偶発的に衝突が生じても壊れにくい。さらに寒さや摩損などの問題に対応するため、このシステムはプラスチック部品を用いていない。
科学研究チームの案内で、筆者は敏捷型無動力パワードスーツの生産現場を訪れ、試着してみた。この炭素繊維製のスーツは1分以内に簡単に着ることができ、非常に軽く便利だ。歩行、ジャンプ、ダッシュで大きな違和感が生じることはない。脱ぐのも非常に便利で、10秒ほどしかかからない。
これを着用してからすぐに大きな補助を感じられないとしても、負荷がかかるとこの感覚は明らかになる。科学研究チームは筆者に25キログラムの砂袋が入ったバックパックを渡してくれた。パワードスーツを着用しこれを背負うと、体が重くなってくるのを感じたが、比較的楽に歩行、ダッシュ、ジャンプできた。また一定時間が経過しても、背中や肩の強い凝りが感じられなかった。比較するため、筆者はパワードスーツを抜いでから同じ重さのバックパックを背負ってみたら、負荷が急激に増し、体の重心を調節するのにも大きな力が必要になった。
張氏によると、第1弾・数十着の敏捷型無動力パワードスーツの生産にかかった時間はわずか20日余り。利用者の需要があれば、生産能力は毎月1000着に拡大でき、単価も下がるという。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年11月12日