SF映画「ターミネーター2」の液体金属でできた殺人ロボットは不死身で、銃撃を受けても自己回復する。この不思議な自己回復能力は現在、SFの世界だけに存在することではなくなっている。天津大学の張雷氏と楊静氏のチームがこのほど研究開発した「全天候型自己回復材料」は、外界からの助けを借りることなく、極寒、深海、強酸・強アルカリなどの過酷な条件下で全天候型におけるスピーディな自己回復を実現する。ロボット、深海探査機、過酷な条件下の各種ハイテク設備の「スーパー電子皮膚」になる見通しだ。関連成果は国際的に権威ある学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。科技日報が伝えた。
楊氏は「動的な多重結合は、全天候型自己回復材料の研究開発の画期的な構想だ。動的な結合はマグネットボタンのようなものだ。材料に破損が生じると、破損面のマグネットボタンが外れるが、分子間の相互作用力により引きつけ合い、再びボタンをかけることで自己回復の効果を発揮する」と説明した。
◆極寒・深海などの過酷な状況に対応
全天候型自己回復材料のマグネットボタンは切断と再結合を繰り返すことが可能だ。実験結果によると、同新型自己回復材料は室温であれば10分内に迅速に回復でき、回復後は自身の500倍以上の重さの物を支えられる。氷点下40度の低温、冷えた高濃度塩水、さらには強酸・強アルカリ環境においても高い自己回復性能を示しており、24時間内の自己回復を実現する。
楊氏は「材料の自己回復能力を強化し、各種条件下における自己回復を実現するため、我々は複数種類のマグネットボタン、つまり複数の動的結合を設計した。これには高水素結合、低水素結合、ジスルフィド結合が含まれる。こうすることでマグネットボタンはどのような過酷な条件下であっても、再び自動的にかけることができる」と説明した。
◆惑星探査ロボットの皮膚に
張氏は「こうした性能があるため、軟体ロボットなどの自己回復材料の応用の将来性は非常に高い。当然ながら最も重要な応用は、電子皮膚の作成だ。自己回復材料には高い伸縮性があり140倍に引っ張ることができるため、ロボットの肘関節、膝関節、指関節などの皮膚に使用し、各種状況の引っ張りを実現する。同時にその自己回復機能は海洋プロジェクト、極地、高空、工業廃水処理などの過酷な環境における作業に対しても重要な意義を持つ。例えば過酷な環境で作業する火星・月探査ロボットは、破損が生じやすい。これを速やかに修理しなければロボットの機能に影響が生じる可能性が高い」と話した。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年6月9日