米国がまたしても関税の大棒を振り回し始めた。今回はロブスターをめぐってだ。中国新聞社が伝えた。
トランプ米大統領はこのほど、「欧州連合(EU)と中国が米国産ロブスターに対する関税を直ちに引き下げなければ、EU産の自動車及びまだ明示していない中国製品に対して追加関税を課す」と脅した。
米国産ロブスターは中国市場で非常に人気がある。報道によれば、2000年の中国の輸入額は米国の輸出額の1%を占めるに過ぎなかったが、16年には15%にも上昇した。17年の米輸出総額は1億4千万ドル(約151億3千万円)を超えたが、18年中頃から中米貿易摩擦がエスカレートして、米ロブスター産業も大きな打撃を受け、19年上半期の輸出量は前年同期比80%以上も減少した。
米メイン州ロブスター商工会議所のアニー・ツァリキス会長は、「メイン州には許可証を持ったロブスター養殖業者が約4500人おり、2018年のロブスター産業の雇用者は約1万人から1万2千人ほどだった。中国市場への再進出が私たちロブスター関係者の長期的な経済成長にとって非常に重要だ」と話す。
こうした動きと同時に、カナダ産ロブスターの対中輸出が日に日に増加している。19年上半期のカナダ産ロブスターの対中輸出量は約1万3600トンに上り、18年全体の輸出量とほぼ同じだった。
ただ、関税の大棒を振り回して米国産ロブスターの失われた市場シェアを取り戻そうとする、米国のこのような「もくろみ」がうまくいくはずがない。
米国が自動車関税によってEUに脅しをかけるのは今回が初めてではない。18年にEU産自動車に追加関税を課すとし、19年にもEUとの貿易合意が達成できなければ、欧州から輸入する自動車に追加関税を課すと繰り返し脅してきた。
その当時、EU欧州委員会のユンケル委員長は、「米国が欧州産自動車に追加関税を課すなら、EUは米国産の大豆と液化天然ガス(LNG)の調達を減らす」とコメント。数か月後、EUはさらに、「対抗措置として、EUは総額350億ユーロ(約4兆2669億円)分の米国製品に対する追加関税を準備している」と述べた。
ひょっとすると、米国は「敵に大きな損害を出すが自分の損害も大きくなる」ことを恐れて、振り上げた自動車関税の大棒をずっと下ろせないのかもしれない。このように考えて、EUは米国への強硬な態度を変化させたとみられる。
ブルームバーグ社は、「EUの幹部と議員は数ヶ月前から米国の脅しにまともに対応しなくなった。19年に米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表はEUと小規模な合意を達成しようと試み、米国産ロブスターに対する貿易障壁を取り除こうとしたが、この提案は支持を集めることができなかった。最近数ヶ月の間にも、双方は貿易合意について交渉を行ったが、進展はごくわずかだった」と伝えた。
中国について言えば、関税による脅しで自国の合法的な権利を犠牲にする状況に迫られることはEU以上にあり得ない。こうした立場は、中国政府がさまざまな場面で繰り返し明確に述べてきたものであり、行動によって証明されてもいる。
アナリストは、「新型コロナウイルス感染症が徐々に落ち着き、各国経済はこれまで停止していた産業が動きだそうとしているこの状況の中、協力を強化し、同舟相救ってはじめて、経済の一日も早い回復の道を推進することが可能になる。米国がまたしても関税の大棒を振り回して他国を威嚇するのは、米国にとって無益であり、世界に対しても何のメリットもない」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年6月9日