教育部(省)は9日、オーストラリアに対し2020年第1号となる留学に関する注意喚起を行った。オーストラリアの主な大学は7月前後に続々と授業再開を予定している。しかし世界の新型コロナウイルス感染症の拡散はまだその勢いが効果的に抑制されておらず、海外への渡航や学校の授業再開にはリスクが存在している。人民網が各社の報道をまとめて報じた。
感染症期間中、オーストラリアではアジア系に対する差別事件が複数発生した。教育部は留学生に対し、リスクをしっかりと見極め、当面、留学や勉学のためオーストラリアに戻ることについて慎重に検討するよう注意を喚起した。
過去数ヶ月、オーストラリアのメディアは、新型コロナウイルス感染症を理由にした中国系やアジア系に対する人種差別現象をすでに何度も報じてきた。これより前の6月5日には、中国文化・観光部がオーストラリアのみを対象にして渡航に関する注意を喚起し、同国の華人やアジア系に対する人種差別行為が著しく増加していることを踏まえ、同国に渡航しないよう呼びかけていた。
中国人留学生がいなくなると、オーストラリアはどれほどの損失に?
オーストラリア統計局のデータによると、2018-2019年度、海外留学生受入のオーストラリア経済に対する貢献は376億オーストラリアドル(1オーストラリアドルは約74.2円)で、前年同期比で16%増となり、同国で3番目の輸出産業となった。
留学生のうち、中国人の学生が主力となっている。オーストラリア教育訓練省のデータによると、2019年の中国大陸部からオーストラリアへの留学生数は26万1000人に達し、全体の27.3%を占め、トップとなっている。ここ数年、中国人留学生の増加スピードは落ちてきていたものの、2位のインドと比べると、人数は依然として2倍近くにのぼっていた。
教育部が留学に関する注意を喚起する前から、新型コロナウイルス感染状況を受け、オーストラリアの教育業界は今後の海外からの学生の入学状況について悲観的な見方をしていた。
オーストラリア大学連盟のカトリオーナ・ジャクソン最高執行官は今月初め、新型コロナウイルス感染症はオーストラリアの留学産業に今後4年で160億オーストラリアドルの損失をもたらすだろうと警告していた。
このほか、オーストラリア政府が5月に発表した報告書によると、渡航禁止令やビザ発給制限により海外からの留学生数が減少したため、2020年のオーストラリアの留学収入は少なくとも30億オーストラリアドル減となる見通しだ。
中国がオーストラリアへの留学生に注意喚起を行ったことは、間違いなくオーストラリアの留学産業にとっていっそうの打撃となるだろう。「シドニー・モーニング・ヘラルド」紙は、「これはオーストラリアの重要な輸出業界にとってさらなる打撃となるだろう」と報じている。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年6月11日