あるブロガーが最近、肉まん専門の老舗・狗不理(王府井店)に行き、食事をした後に、「醤油味付け肉まんはとても脂っこく、豚肉まんは皮が厚く、具が少ない。2皿で100元(1元は約15.45円)はちょっと高いと思う」と投稿。ネットユーザーの間で老舗の現状をめぐる議論が巻き起こっている。
シンクタンク「瞭望」が最近、北京や上海、天津などで実施した調査研究によると、老舗ブランド約1000軒のうち、一定規模の生産・経営を保ち、利益が出ており、経営状態の良いブランドは10%にとどまった。一方、約70%のブランドは、観念が古い、メカニズムがうまく働かない、イノベーションが不足、継承がうまくいっていないなどの原因で経営困難に直面しており、約20%は長期にわたって赤字が続き破産の危機に立たされていた。
ボトルネックを打破するためには考え方を変え、技術の進歩、市場のニーズを尊重しなければならない。食品・飲食業界を例にすると、一部の老舗ブランドはサプライチェーンの高度化や新小売りなどの手段を活用し、ECプラットフォームで中国全土の市場に進出している。飲食関連の多くの老舗ブランドが現在、3R(下ごしらえがされている、温めれば食べられる、そのまま食べられる)食品の研究開発に取り組み、消費者に家庭でも老舗の料理を楽しんでもらえるようにすることで、地域という枠を打破するようになっている。
▲ 張小泉ハサミ鍛冶技術の伝承人・丁紀■さん(■は火へんに山)が作り上げた各種ハサミ(撮影・王剛)。
例えば、四川張飛牛肉、北京護国寺の豆汁・焦圈、杏花楼の草団子、年▲楊(▲は米へんに羔)の江米年▲などは、オンラインで購入すると、1時間もすれば家まで届き、食卓に並べることができる。
こうしたアイデアは、新技術を研究開発し活用して実現している。商品やルートのイノベーションにより、地域という枠を打破し、さらに、商品の位置付け、ブランドPRにおいてもブレイクスルーを実現して、商品を他の地域でどのように販売するか、どのようにして若者に買ってもらうかなどの課題を克服している老舗もある。
例えば、老舗レストラン・五芳齋はディズニーと提携し、「花様五芳」をテーマにしたちまきのギフトセットを打ち出した。「ディズニー」という知名度の非常に高いブランドとコラボすることで、自社のブランドの認知度強化を図ったのだ。
1913年創立の杭州市の老舗軽食・菓子店・知味観はここ数年、業界の垣根を超えて、映画界とコラボしたり、軽食・菓子を無料で試食できるようにしたり、手作り体験イベントを開催したりと、バラエティーに富んだマーケティングを展開し、新たな活力を注入し、ネット上で多くの若者たちの消費者をゲットしている。
▲オンラインショップ・天猫と提携して新たな活力を得た老舗・知味観の店内は、雨の日でも多くの客で賑わっている。
老舗が生まれ変わるためには、メカニズムやブランド、マーケティング、ビジネススタイル、技術、サービスなど、多方面でのイノベーションが必要で、それがなければ本質的に変わることはできない。イノベーションがなければ、発展はなく、どんなに輝かしい過去がある老舗ブランドでも、衰退へと向かってしまうだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年9月25日