暖房が不安定で、室温が一定に保たれない。同じマンション内であっても、上層の住民は暑くて窓を開けるのに、下層の住民は家でもコートを羽織る――。このような暖房の問題は今後、回避される見通しだ。間もなく訪れる暖房シーズンに、京能集団所属の北京熱力集団が60万平方メートル近くの暖房面積内で、人工知能(AI)熱供給網制御システムを試験的に導入する。住民の自宅の室温を正確に、需要に応じて調節できるようになる。北京日報が伝えた。
冬になると、北京のどの家庭でもスチームヒーターが使われる。温水がパイプ網システム全体の中で循環し、熱をもたらす。だが、暖房供給工場もしくはエリアボイラー室などの熱源から流れ出す温水は、直接住民の自宅のスチームヒーターに送られるのではなく、まず団地もしくはその付近の熱力ステーションを経由し、混流型熱交換を経て自宅に入る。そのため熱源から流れ出す温水は通常一次給水と呼ばれ、熱力ステーションの熱交換後の水は二次給水と呼ばれる。
北京市が今回、試験的に導入するAI熱供給網制御システムは主に、二次給水パイプ網の熱を調節する。住民の自宅内に室温採取装置を設置し、室温データを自動的に収集し、さらに屋外の気象状況等の要素に基づき正確に計算し、各マンションに必要な給水温度を導き出す。自動的に各マンションの暖房供給パイプ網のバルブの圧力と流量を調節するよう指示を出し、各エリアの熱分配のバランスをとり、正確に室温を調節する。
豊台区金橋東街の頂秀金石家園は最も早くこのシステムを導入した団地だ。ここでは現在、約400世帯に室温採取装置が設置されている。この壁のコンセントに設置される小さな四角形のプラスチックケースは、家庭内の室温データをリアルタイムで採取し、中央制御システムプラットフォームに送る。
頂秀金石家園の暖房供給関係責任者によると、同システムは昨年9月に改造が完了した。暖房供給の1シーズンの試験により、高い効果が確認された。「以前は一つの暖房シーズンで、広い範囲で二次給水温度を少なくとも3、4回手動で調節していたが、去年は大きな調節はほぼなく、いずれもシステムで制御していた。暖房の問題に関する利用者からの苦情が減った」
間もなく訪れる今年の暖房シーズンに、同システムが北京市の3カ所の大型コミュニティ、3つの大型エリアボイラー室で試験的に導入される。暖房供給面積は40万平方メートル以上で、4000世帯以上に利益をもたらす。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年10月22日