21歳の「子連れ新関取」が誕生した。11日初日の大相撲秋場所で新十両に昇進する将司(まさつかさ)=入間川部屋。一昨年初場所の初土俵から2年半、16場所でのスピード出世を果たしたが、原動力となったのは、入門直後に長男が誕生し、一刻も早く「月給取り」にならなければという「大黒柱」の自覚だ。
◇11日初日の大相撲秋場所で
8月下旬、入間川部屋から発表があった。将司が入門直後の一昨年5月に既に入籍し、妻真由美さん(20)と2歳の長男こう親(しん)ちゃんが青森県深浦町の将司の実家で暮らしている、という内容。「幕下以下は半人前。だから公表もできなかった」と師匠・入間川親方(元関脇栃司)。
五所川原農林高では高校総体ベスト16が最高成績。度重なる門限破りで、相撲部の寮を退寮させられたこともあるという。
高校卒業時、すでに子供がおなかの中にいた。将司はとび職なども考えたが、相撲で一旗上げれば、故郷に錦を飾れると考えた。「3年で幕下一けたに上がる、三段目なら、きっぱり辞める、と親類に申し出て入門の許しを得た」と将司。「辞めたら帰れない」とはらを据えてけいこに取り組んだ。
突き、押しに磨きをかけて今年春場所で幕下7枚目。1年早く公約を果たした勢いで、先場所は幕下3枚目で6勝1敗の好成績を残し、一気に関取へ。入間川親方は「背負ったものが大きかったのだろう。出世は予想以上に早かった」と話す。
幕下は大部屋暮らしで、協会から支給されるのは月7万円。そこから仕送りと携帯電話代をひねり出していた。十両の基本給は月100万円を越える。将司は「夢のようです。まだ開けないままの結婚披露宴のため、一日も早く幕内に上がりたい」と、さらなる意欲を見せている。【上鵜瀬浄】