大相撲のラスベガス公演千秋楽は9日(日本時間10日)、ラスベガス(米ネバダ州)のマンダレイベイ・イベントセンターで満員御礼となる9227人の観衆を集めて行われ、トーナメントは横綱・朝青龍(25=高砂部屋)が優勝。初日、2日目の優勝者と争った総合優勝決定戦も制した。金色まわしで登場して大量塩まきを披露するなど、今回の公演で誰よりもエンターテイナーぶりを発揮していた横綱が見事に“エンターテインメントシティー”ラスベガスの王者に輝いた。
最後はしっかりと朝青龍が締めくくった。2日連続準優勝の悔しさを晴らして総合優勝。取組を待つ花道では米国のファンに「あなたに賭けてるから勝ってください」と声をかけられた。今回の公演はショー扱いでスポーツブックの対象ではないが、ラスベガスならではの雰囲気に「よしと思って気合が入った」という。
優勝決定戦では西から土俵に上がった。いつも東横綱の朝青龍にとって、西での仕切りは昇進後は初体験。「いつものペースとちょっと違うんだね。足の距離とか少し迷った」と少し動作がぎごちなくなったが、それも楽しい経験だった。
会場内にはあちこちにモンゴル国旗がはためいていた。米国では現在約2万2000人のモンゴル人が生活している。この日は約800人、3日間で約1500人のモンゴル人が来場。母国の英雄の姿を見ようと訪れたファンの期待にも応えることができた。
相撲団が滞在しているマンダレイベイホテルのカジノには“朝青龍チップ”と土俵入りの写真を使った“朝青龍テーブル”が登場。片面に公演のロゴ、片面に朝青龍の写真がデザインされた25ドルチップは系列ホテルで実際に使用可能。「下手なお土産よりいいよね」と横綱も1000ドル分をオーダーした。カジノの成績はどうやら負けが込んでいるようだが「また来場所がある。ここであんまり運を使うとよくない」と言って晴れやかな笑顔を見せた。
≪KONISHIKI英語名MC≫3日間の公演は合計で2万4795人(主催者発表)の観衆を集め、盛況のうちに幕を下ろした。北の湖理事長(元横綱)は「ラスベガスは見る人の目も厳しい。その中でこれだけ盛り上がり、私は成功したと思っている。相撲界にとって大きな1ページになった」と総括した。客席との一体感をつくり出したKONISHIKI(元大関・小錦)の英語による名MCについても「ちょうどいい間や説明があった。KONISHIKIの力も大きい」と称賛した。