今年2月に肝臓がんのため死去した映画監督の那須博之さん(享年53)が準備していた新作を、日活時代の後輩で親交の深い金子修介監督(50)が引き継ぐ。漫画家・楳図かずお氏(69)の人気ホラー「神の左手 悪魔の右手」が原作で、那須さんの遺作「デビルマン」でヒロインを演じた渋谷飛鳥(17)が主演。金子監督は「この作品で那須さんに恩返しをしたい」と決意を語った。
「ビー・バップ・ハイスクール」などで知られる那須さんが準備を進めていた「神の左手…」。台本が出来上がった2月27日に監督が亡くなり、一時は製作が頓挫していたが、“盟友”がバトンを引き継いだ。
「ガメラ」シリーズや「あずみ2 Death or Love」などを手掛けた金子監督にとって、那須さんは日活時代の2年先輩で「カチンコの叩き方から教わり大きな影響を受けた人」。那須さんの真知子夫人と3人で旅行するなどプライベートでも仲が良く、兄貴分のような存在だった。
死去後に那須さんが新作を準備していたことを知り「追悼の気持ちも込めてぜひやりたい」と熱望。「金子監督なら」という製作側の後押しもあり、企画が再始動した。
主演には「デビルマン」(04年)で銀幕デビューした渋谷を抜てき。那須さんがすでに配役を予定していたが、金子監督も「“デビルマン”を見て印象に残った」という納得のキャスティング。脚本を“最後の弟子”といわれる松枝佳紀氏(36)が担当するなど、那須さんのカラーを受け継ぐ作品になる。
6日から都内などで撮影。金子監督は、「百合族」シリーズの3作目「OL百合族19歳」(84年)のメガホンを取り、那須作品を引き継いだ経験はあるが「那須さんは何を考えていただろうと思いながら撮っているので、自分にとっても新しい作品になるのでは。新たなデビューのつもりです」と話した。
作品の冒頭には「映画監督 那須博之に捧(ささ)ぐ」というクレジットを入れる。「いろいろ恩恵を被ったのに何一つ返すことができなかった。この作品で恩返しをしたい」と決意を新たにしていた。来年公開予定。
◆渋谷 飛鳥(しぶや・あすか)本名同じ。1988年(昭63)7月13日、新潟県出身。02年に第8回全日本国民的美少女コンテストでグランプリ受賞。「美少女クラブ31」のリーダーを務める。
スポーツニッポン 2005年9月20日