西東京市の都立田無高校に28日、小型飛行機が不時着して3人がけがをした事故の原因は、二つある燃料タンクのうち、一つが空になってエンジンが止まった後、乗員がもう一方に切り替えなかったために起きた「ガス欠」だった可能性が、警視庁捜査1課と田無署の調べで強まった。一方のタンクには、目的の飛行場まで飛べるだけの燃料が残っていたという。同課は、突然のエンジン停止で乗員がパニックになり、基本的な操作を忘れた操縦ミスだったとみて調べている。
事故機は米パイパー社製PA28RT-201型機。左右の主翼に燃料タンクを内蔵しており、燃料をバランスよく消費するため、操縦席の「燃料セレクターバルブ」を操作し、一定時間ごとに左右のタンクを切り替える仕組みになっている。
事故機を調べたところ、バルブは右翼タンクにセットされた状態で、燃料はほとんど残っていなかった。一方、左翼タンクには、不時着した同校から約5キロ先の調布飛行場までの燃料が、十分に残っていたという。
同機は飛行中にプロペラが停止しても、再びエンジンがかかれば飛行可能という。事故機も、右翼タンクの燃料切れでエンジンが停止した後、左翼タンクへの切り替えをしていれば、不時着が回避できた可能性が高いと同課はみている。【宮川裕章、鈴木泰広】