元暴力団組長、後藤良次被告(47)=1、2審で死刑、上告中=が、茨城県警に3件の殺人事件への関与を認める上申書を提出した問題で、後藤被告が周辺に「(首謀者の)不動産ブローカーから約2000万円の報酬を得た」と話していることが分かった。このブローカー(56)=同県日立市=も、殺害した男性の土地を売却し、少なくとも3000万円を得たとされ、約9カ月の間に金銭目的で次々と高齢者の命を奪ったという。
後藤被告が報酬の詳細を明らかにしたのは初めて。同県警も同様の情報を入手しており、今週中にも、東京・小菅の東京拘置所に捜査員を派遣し、後藤被告から事情を聴く方針。
後藤被告が周辺に語った経緯によると、ブローカーは99年11月、金銭トラブルで60歳前後の男性を絞殺。同県石岡市で男性の遺体を焼くなど遺棄を手伝った後藤被告に、自らが経営する水戸市の会社事務所で、200万円を渡した。さらに、後藤被告への総額480万円の融資について「今後は返済を求めない」と約束したという。
同月、同県北茨城市で70代の資産家男性を殺害し、男性の土地を約7000万円で売却したとされる事件では、ブローカーらとともに男性を生き埋めにした後藤被告に1200万円を渡した。
さらに00年8月、カーテン店を経営する60~70代の糖尿病男性に大量の酒を飲ませて殺害し、死亡保険金8000万円をだまし取ったとされる事件では、後藤被告は100万円を受け取った。ブローカーは最近になって、拘置中の後藤被告に現金約13万円を送金しており、報酬総額は1993万円に達するという。
後藤被告は知人に「土地売却で得た7000万円のうち、ブローカーは3000万円を取った」と語った。また「保険金殺人の報酬は当初2000万円(後に3000万円に増額)だったのに、100万円しか払っていない」などとブローカーを批判しているという。
後藤被告の上申書は17日、弁護士を介して同県警に提出された。【小林直】