この秋の女性服は、テーラードジャケットのパンツスーツなど、キリッとクールな服がトレンド。仏語で「男性的」を意味する「マスキュリン」と呼ばれるスタイルだ。フェミニンといわれた、優しくロマンチックな服から、趣どころか性別が正反対に変わった。
そういえば、おととしあたりから「男前」が女性の褒め言葉になった。きっぷがよく行動的で責任感あるイメージ。少数派時代から、たおやかに企業社会を生き抜いた女性に、このタイプが多い。
奇数年代は女性らしい服、偶数年代には男っぽい服がはやる--ファッションには、こんな「20年周期説」がある。80年代のバブル助走期は、分厚いパッドで男性のように肩をいからせた「パワースーツ」がはやった。今年はまさにこの20年の潮目でもある。
「歴史は繰り返す」のだが、違いもある。80年代のマスキュリンは「男と対等に」と頑張って無理した感じ。片や21世紀は女性らしさもさりげなく残している。男女雇用機会均等法施行から20年。女性たちは、性別のイメージを遊べるほどタフになった。【國保環】
毎日新聞 2006年8月11日