北朝鮮の核実験を受け、航空自衛隊は日本上空の放射能値を調べるために大気中の塵を集める集塵(じん)飛行を開始した。
集塵飛行は、1961年から月1回、日本上空の放射能値を調査するため計6カ所で定期的に行われいる。今回は、政府の放射能対策連絡会議からモニタリング強化の指示を受けて臨時に実施された。臨時飛行は86年4月のチェルノブイリ原発事故以来、20年ぶり2度目となる。
9日午後9時すぎ、円筒形の集塵機を積んだT4練習機が、百里(茨城県)、築城(福岡県)、三沢(青森県)の3基地から離陸、約1時間半、日本海上などの高度3キロ、10キロで塵を収集した。
約1時間半後に戻った練習機からは集塵機がはずされ、紙フィルターが文部省所管の日本分析センターと防衛庁の技術研究本部に送られた。今後、放射性物質の種類や量が分析される。
空自によると、北朝鮮の核実験から放射能を帯びた物質が飛来してくるのは実験の半日から2日後とみており、集塵飛行は10日午前9時からも実施され、同日午後にも予定している。【反田昌平】
毎日新聞 2006年10月10日