北朝鮮の核実験実施発表を受け、政府の「放射能対策連絡会議」は9日夜、全国36府県と財団法人・日本分析センター(千葉市)に大気中のちりに含まれる放射性物質を毎日測定するなど観測態勢の強化を指示した。9日夜から10日未明にかけて、自衛隊機も長崎県、福島県、北海道などの上空で大気中のちりを採取し、放射性物質の量を調べる。
伊吹文明文部科学相は10日の閣議後会見で、都道府県などが測定している空間の放射線量について「今までのところ、地下核実験実施発表前と後で大きな数字の変化はない」と述べ、現段階で核実験の影響は報告されていないことを明らかにした。
ただ、一般的に地下核実験の場合、放射性物質が大気中に放出されることは想定されない。文科省によると、過去の各国の地下核実験で、健康に影響が出る量の放射性物質が日本で観測された例はなく、今回も恐れは少ないという。
北朝鮮では9日、主に南西の風が吹いていたといい、核実験で生成した放射性物質が大気中に放出されたとしても、直線的には日本に来ないとみられる。日本に到達するとしても、数日後になる見通しだという。
指示を受け、各府県は、10日午前9時から、24時間かけてちりを採取。約6時間かけて分析し、結果を文科省に報告する。この作業を毎日繰り返す。また、全都道府県と環境省の全国12施設に、空間を飛ぶ放射線(ガンマ線)量を常時測定して同省に毎日報告することを求めた。【高木昭午、下桐実雅子】
毎日新聞 2006年10月10日