睡眠時間が7~9時間より長いか短い子どもは、精神状態が悪いという傾向のあることが、日本大医学部の兼板佳孝講師(公衆衛生学)らによる10万人規模の調査で分かった。兼板講師は「7~9時間が適切な睡眠時間だと示すデータ」と説明している。富山市で開かれている日本公衆衛生学会総会で26日発表する。
厚生労働省の研究班(主任研究者、林謙治・国立保健医療科学院次長)が04年12月~05年1月に、中学校131校、高校109校を全国から無作為抽出し、在校生に過去1カ月の睡眠状況や精神的健康度に関して質問。回収した9万9668人分のデータを解析した。
精神的健康度は、行動の際に「いつもより集中できましたか」など12問に対する回答を点数化して測定。4点以上(12点満点)で不健康とした。
解析によると、精神的に不健康だったのは全体の44%。不健康な子どもの割合は、睡眠時間が8~9時間で33.2%と最も低く、7~8時間で33.7%、6~7時間で42.2%、5~6時間で50.9%、5時間未満で58.3%と、短くなるほど高くなった。逆に、9時間以上は40.8%で、7~9時間よりも不健康の割合が増した。
また、寝付きの悪さと健康度には大きな関連があり、「常に悪い」と答えた子どもの74.7%が不健康で、逆に「全くない」と答えた子どもでは31.5%だった。
兼板講師は「この研究では分からないが、睡眠が短くて精神状態が悪くなるのと、精神状態が悪くて睡眠が短くなるのと、どちらも考えられる」と話している。【根本毅】
毎日新聞 2006年10月26日