ヤンキース・松井秀喜外野手(32)が21日(日本時間22日)のフリー打撃中に昨年5月に骨折した左手首の“抜き打ち検査”を受けた。チーム付きのスチュワート・ハーション医師(69)が打撃ケージ後方で松井を予告なしに捕獲。打撃練習の衝撃が左手首に与える影響などを確認し「完治」と診断した。松井にとって最大の不安は左手首骨折の後遺症だったが、それも一掃された格好だ。
A・ロドリゲスらとのフリー打撃が開始されて約10分。2巡目を終え、ケージの左後方で順番待ちしていた松井が、ハーション医師に突然声を掛けられた。目的は昨季骨折した左手首の確認。同医師は約2分間にわたって触診するなど骨折した左手首をチェック。日米通じて初めての体験に松井も驚きを隠せなかった。「手首について(の話)です。問題ないかということ」
異例の出来事だった。ロッカールーム内で選手の体をチェックするのがチームドクターの通常の仕事だが、この日は松井の打撃練習に合わせてグラウンドに登場。異例の行動の理由を同医師は「打ってすぐ後の手首の状態をどうしても確認したかった」と説明。「特に気にする点はなかった。手首は完治している。今後のプレーに支障はない」と完全に回復しているとの所見を示した。
そんな“お墨付き”をもらった松井は、フリー打撃で31スイング中サク越え2本を放つなど調子はまずまず。守備でもフェンス際のプレーを難なくこなし「(ケガの影響は)問題ないです」と涼しい顔だ。ミスショットする場面が見られたことにも「自分の思うこと、やろうとしていることができている。いい練習ができている」と意図を持った練習の結果だと強調した。古傷の左ひざの状態も良好で「今年は体の心配はどこもない」と自信も見せている。
3月からはオープン戦が始まるため、集中して練習できる期間は残り約1週間。それでも「自分なりに思うことをやる。しっかりメニューをこなして体を慣らしていきたい」と焦りはない。4年連続で逃している悲願の世界一奪取へ。心身ともに不安はない。
スポーツニッポン 2007年2月23日