混乱が続くアメリカの金融市場で、今度は政府系住宅金融会社の経営不安説が急速に広まり、ポールソン財務長官が国有化を否定する異例の声明を出す事態になっています。
問題になっているのは、住宅ローン市場で圧倒的なシェアを持つ「ファニーメイ」、「フレディマック」という2つの政府系住宅金融会社で、資金調達や資本不足への懸念から、今月に入って2社の株価は50%も下落するなど、経営不安が広まっています。
11日には、一部でアメリカ政府が国有化を検討していると報じられ、ポールソン財務長官が「我々の優先事項は今の経営形態で支援していくことだ」と緊急声明を発表、国有化を事実上否定すると共に、政府として支援姿勢を明確にしました。
「フレディマックとファニーメイはとても重要な機関です。ポールソン財務長官とFRBのバーナンキ議長は、この件で懸命に仕事をしています」(アメリカ ブッシュ大統領)
大統領までが事態の沈静化をはかろうとしたのは、この2社が巨大金融機関であるだけでなく、今や政府系のこの2社なしでは住宅ローン市場そのものが機能しなくなってしまうからです。
爆弾を抱えた形のニューヨーク株式市場は11日、一時1万1000ドルの大台を割り込むという弱気の展開で、アメリカの金融市場は、この巨大な政府系住宅金融会社2社の先行きを息を凝らして見つめています。(12日08:54)