【カイロ=押野真也】ヨルダンのアブドラ国王は4日、中東の過激派「イスラム国」に対する空爆など軍事介入を拡大する可能性について言及した。同組織によるヨルダン人パイロットの殺害を受け、世論は硬化している。中東の衛星テレビは、ヨルダンのアブドラ国王が同日に開いた緊急閣議で「ヨルダン軍による(イスラム国への)報復は容赦のないものになる」と述べたと伝えた。
ヨルダン軍パイロット、カサスベ中尉を殺害したとする映像の公開後、抗議の声を上げる人々(3日、アンマン)=ロイター
ヨルダンは米国が主導する対イスラム国の有志連合に加わり、空爆作戦にも参加している。カタールの衛星テレビ、アルジャズィーラは、軍の最高司令官でもある国王の発言について、有志連合の攻撃作戦に引き続き参加し、「これまで以上の役割拡大を意味する」と分析した。
3日にヨルダン人パイロット、モアズ・カサスベ中尉を殺害したとされるインターネット映像が公開されて以降、同国では連日、イスラム国への抗議デモが続いている。アブドラ国王の発言は高まる国民の不満に配慮し、国内の秩序維持を重視した面もありそうだ。
イスラム国の壊滅に向け、米議会では地上軍の投入が必要との意見が出ている。空爆の精度を高めるには地上軍による誘導が必要との考えだが、オバマ米大統領は慎重な姿勢を崩していない。
アラブ首長国連邦(UAE)が昨年12月以降、空爆を停止していると伝えられるなど有志連合参加国の貢献度合いにはばらつきがみられる。ヨルダンで強硬姿勢が強まれば、主導する米国もヨルダンに、より一層の貢献を求める可能性もある。