ロッテルダム郊外で選挙運動を開始し、報道陣や支持者らに取り囲まれる自由党のウィルダース党首=2月18日、吉田美智子撮影
15日投開票のオランダ総選挙が迫っている。欧州連合(EU)統合の牽引(けんいん)役とみなされてきた同国で、移民排斥やEU離脱を訴える右翼・自由党(PVV)が第1党をうかがう勢いだ。欧州各国で「自国第一」を掲げる勢力が台頭する中、選挙結果はその後の仏大統領選や独総選挙に影響を与えかねない。
■徹底した反イスラム
自由党のヘルト・ウィルダース党首(53)は1963年、ドイツとの国境に近い南東部フェンローで、4人兄弟の末っ子として生まれた。母親はオランダの旧植民地インドネシア出身。トレードマークである金髪の「ライオンヘア」は染めているといわれる。
高校を卒業後、通信制の大学で法学を学んだ。10代の終わりにイスラエルに2年ほど住んだことで、イスラム教に関心を持つようになったとされる。近隣のイスラム諸国を旅行し、民主主義の遅れなどの問題を痛感したという。
政治的なキャリアは、主要政党である中道右派・自由民主党の政策スタッフとして90年に採用されたことから始まった。同党のボルケスタイン党首(当時)は、初めてイスラム系の移民の受け入れについて懸念を表明した政治家とされ、挑発的な発言で社会の関心を引く政治手法にも、ウィルダース氏は影響を受けたとみられている。
州議や上院議員を務めたが、ト…