群馬大学の橘熊野助教らは、トウモロコシの芯など食用にならない植物資源からプラスチックのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を合成する技術を開発した。5年以内に化学メーカーなどと組み、プラントでの実証実験を目指す。成果は英科学誌サイエンティフィック・リポーツ(電子版)に掲載された。
石油ではなく植物を原料にしたプラスチックは二酸化炭素(CO2)の排出量が減らせる。ただ糖分を原料にするものが多く食料問題との競合が課題になっていた。
橘助教らは、トウモロコシの芯などから作ったフルフラールと呼ぶ物質を、PET樹脂の原料となるテレフタル酸に変換する反応法を開発した。既に工業化されている触媒などを使った。
フルフラールは廃材やもみ殻など様々な植物からも作られ、主に中国で生産している。これまでは鋳物向けの型を作る際など用途が限られていた。
従来も食用でない植物資源から樹脂を作る研究はあったが、微生物に合成させる方法が多く反応効率が低かった。触媒を使う今回の方法は工業化がしやすいという。今後は効率の高い触媒を開発して製造コストを下げて実用化につなげる。