成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスを発見した京都大名誉教授で元塩野義製薬副社長、日沼頼夫(ひぬま・よりお)氏が4日、京都市内の病院で死去した。90歳だった。
秋田県出身。東北大教授、熊本大教授、京大ウイルス研究所教授を歴任。がんウイルス研究の第一人者で、九州など西日本に多いATLの原因が「レトロウイルス」の一種であることを解明した。エイズウイルス(HIV)の研究にも尽力した。1989年に日本学士院賞・恩賜賞、2009年に文化勲章を受けた。
京大退官後の88年、塩野義製薬の研究部門に招かれ、抗ウイルス薬などの研究開発を指揮。94年に副社長に就任し、96年からは相談役を務めた。