三井不動産が10日発表した2014年4~12月期の連結決算は、純利益が706億円と前年同期から14%増えた。4~12月期では最高となった。けん引役は分譲事業。不動産市況の回復で、不動産投資信託(REIT)や不動産ファンドなど投資家向けにオフィスビルなどの売却が伸び、都心部の高額マンションの販売も好調だった。
売上高は1兆813億円と前年同期を9%上回った。住宅やオフィスビルなど分譲事業の営業利益が前年同期の3倍の314億円だった。
個人向け住宅部門では、最多販売価格帯が1億円の大型マンションのパークコート千代田富士見ザ タワー(東京・千代田)の売り上げ計上が大きかった。「東京の湾岸エリアでも単価の上昇が見られた」(佐藤雅敏常務執行役員)といい、引き渡し戸数は前年同期より6%少なかったが、1戸あたりの単価は17%上昇した。
REITや不動産ファンドなど投資家向けに関しても「海外勢を含め、物件の購入ニーズが強い」(佐藤氏)。投資家向けも個人向け住宅もそろって大幅増益となった。
一方、主力の賃貸事業の営業利益は803億円と4%減った。商業施設の「COREDO室町2」が入る室町古河三井ビルディング(東京・中央)などが期首から稼働したほか、オフィスなどの複合施設「飯田橋グラン・ブルーム」(東京・千代田)も新たに完成。賃料収入は伸びたものの、新規稼働に伴う減価償却費が膨らんだ。
15年3月期通期は、売上高が前期比2%増の1兆5400億円、純利益で17%増の900億円とする従来予想を据え置いた。7年ぶりに最高を更新する。