訪日客の消費は勢いが弱まっている
中国などから日本を訪れる外国人客の「爆買い」が失速している。2016年の訪日客の消費総額(推計)は前年比7・8%増の3兆7476億円。年間では過去最高になったが、伸び率は15年の71・5%から大きく縮小。1人あたりで見ると4年ぶりに前年を割っており、小売り各社は対応を迫られている。
観光庁が17日に発表した。国・地域別では、中国人が1兆4754億円で約4割と最大。台湾人が5245億円、韓国人が3578億円で続いた。使途別では、買い物が1兆4261億円と最多で、宿泊1兆140億円、飲食7574億円、交通4288億円と続く。前年から買い物はやや減ったが、宿泊と飲食は大きく伸びた。
一方、1人あたりの平均消費額は前年比11・5%減の15万5896円だった。円高が進んだ影響もあるが、なかでも中国人(23万1504円)の減少率が18・4%と大きい。中国は昨春、海外の土産品の関税を引き上げた。インターネットで海外の商品を買う習慣が広がり、中国人の訪日時の消費総額が2千億円ほど減ったと、観光庁は試算する。
中国からの訪日客数の伸びは堅調だ。16年は27・6%増の637万人。国・地域別では2年連続で最多となり、訪日客全体(2403万人)の26・5%を占めた。ただ、訪日する中国人が富裕層から中間所得層に広がりつつあることも、消費額の伸び悩みにつながったとみられる。
政府は20年までに訪日客を年4千万人に増やすとともに、1人あたりの消費額を20万円に上げ、消費総額を年8兆円にする目標を掲げる。しかし、今の傾向が続けば、消費額の目標達成は厳しい。観光庁の田村明比古長官は「今年は正念場。アジア中心だったプロモーションの重心を(長期旅行者が多い)欧米豪に移す」と話した。(内藤尚志、石井潤一郎)