日本郵政は10日、2015年3月期の連結純利益が前期比12.3%減の4200億円になりそうだと発表した。従来予想から上方修正したものの、2期連続で最終減益となる。収益性の低さを改善できておらず、今秋の株式上場実現に向けて課題が山積している。
同日発表した14年4~12月期決算は、連結純利益が前年同期比2.6%増の4046億円だった。グループ各社の業績をみると、日本郵便の純利益が前年同期比73.4%減の174億円と落ち込んだ。
人手不足による人件費の増加を吸収しきれず、売り上げは伸びているのに利益が減る悪循環に陥った。宅配便「ゆうパック」も赤字から脱していないもようで、年賀状に収益を依存する体質から抜け出せていない。
金融2社(ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険)はいずれも増益だった。ゆうちょ銀は運用資産を外国証券などへ振り向けて収益を確保し、純利益が前年同期比5.8%増となった。通期の予想純利益も上方修正した。かんぽ生命も約180万件の新規契約を獲得するなど堅調で、純利益は前年同期比78.4%増えた。
ただ、両社とも売り上げにあたる経常収益は前年同期比で減少している。運用資産の半分以上を国債が占めており、金利の低下に連動して収益も減少傾向にある。
日本郵政とゆうちょ銀、かんぽ生命は今秋にも株式を同時上場する方針だ。ただ、グループ全体で収益を改善し、成長していく青写真はまだ見えない。日本郵政の西室泰三社長は今年6月までに成長戦略を示すと公言している。