子どもも要注意! 過度の清潔が子どものアレルギー体質をつくる?
花粉症で最近目立つのが、子どもの発症が増えていることだ。理由は諸説あるが、有力なのが「衛生仮説」だ。清潔すぎる生活が原因で、免疫バランスが崩れてアレルギーが起こりやすくなるという理論である(1989年イギリスのStrachan博士が提唱)。
きれいな生活の中では、菌やウイルスにふれる機会が少ないため、それらに感染することで増えるリンパ球(Th1)の働きが弱くなってしまう。その反動で、アレルギーに関係するリンパ球(Th2)の働きが強くなり、アレルギーになりやすい体質になっていく―という仮説だ。抗菌グッズに囲まれた清潔好きの日本人には耳の痛い話だ。また、スギ花粉の飛散量自体が、戦後、右肩上がりに増え続けていることも、花粉症の低年齢化に大いに関係しているといわれる。
定番の薬物療法、市販薬の乱用に注意
花粉症治療の定番は薬物療法だ。下表に示したような薬剤を、症状によって使い分ける。これらの成分は、一部、市販薬にも含まれている。
花粉症治療に用いる主な薬剤(処方薬)
種類 |
特徴 |
主な製品名 |
経口薬 |
抗ヒスタミン薬 |
ヒスタミン(炎症やアレルギー反応に大きく関わる物質)の働きを抑制する。くしゃみ・鼻水に即効性があるが、眠い、口が渇くなどの副作用がある |
第一世代:ポララミン、タベジール |
第二世代:ザジテン、アゼプチン、セルテクト、ゼスラン、ニポラジン、ダレン、レミカット、アレジオン、エバステル、ジルテック、リボスチン、タリオン、アレグラ、アレロック、クラリチン、ザイザル、ディレグラ |
ケミカルメディエーター遊離抑制薬 |
アレルギー反応を仲介する化学物質を抑える。くしゃみ・鼻汁に対して使う |
インタール、リザベン、ソルファ、アレギサール、ペミラストン |
抗ロイコトリエン薬 |
鼻粘膜の血流を改善する。鼻粘膜の腫れや鼻づまりのほか、鼻汁やくしゃみにも効く |
オノン、シングレア、キプレス |
抗プロスタグランジン D2・トロンボキサンA2薬 |
トロンボキサン(鼻粘膜血管を刺激したり、粘膜を腫れさせ鼻詰まりをさせる物質)の働きを抑える |
バイナス |
Th2サイトカイン阻害薬 |
アレルギーに関わる物質の産生を抑える |
アイピーディー |
ステロイド薬 |
効果が高く重症の人向き。副作用が出やすいので使用は短期間とする |
セレスタミン |
点鼻薬 |
抗アレルギー薬 |
副作用が少ない |
ノスラン、インタール、ソルファ |
抗ヒスタミン薬 |
副作用が少ない |
ザジテン、リボスチン |
ステロイド薬 |
鼻閉やくしゃみ、鼻汁に効く。全身への副作用は少ない |
アルデシンAQネーザル、リノコート、フルナーゼ、ナゾネックス、アラミスト、エリザス |
血管収縮薬 |
使いすぎると粘膜の炎症を起こすことがある |
プリビナ、トラマゾリン |
点眼薬 |
抗アレルギー薬 |
副作用が少ない |
インタール、ペミラストン、アイビナール、パタノール |
抗ヒスタミン薬 |
副作用が少ない |
ザジテン、リボスチン |
ステロイド薬 |
症状が重い場合に用いる。長く使うと眼圧上昇などの副作用がある |
フルメトロン、リンデロン |
出典:「鼻アレルギー診療ガイドライン2013」を参考に一部加筆
気を付けたいのは市販薬の使い方だ。花粉症の人たちの中には、症状がつらくても、病院に行く時間をとれずに市販薬で対処する人もいるだろう。だが、落とし穴もある。「市販薬を飲んだけど鼻づまりが治らない、と訴えて受診する人が多いですね」と橋口氏は語る。市販されている花粉症用の薬は抗ヒスタミン剤が中心なので、鼻水・くしゃみがある程度抑えられても、鼻づまりはなかなか治らないのだ。
次いで多いのが、市販の点鼻薬を乱用して受診するケース。「市販の点鼻薬には血管収縮薬が含まれることがあり、使いすぎると鼻の粘膜が炎症を起こして痛くなったり、腫れて鼻づまりを起こしたりします。注意書きを見ていないか、あるいは効かないことを理由に使い過ぎてしまっているのでしょう」(橋口氏)。この場合、医療機関ではステロイドの点鼻薬やロイコトリエン拮抗薬など、鼻づまりもに効く薬を処方してもらえる。自己流の対処で問題が起きる前に、何とか時間を捻出して、一度は医療機関に足を運ぶことをお勧めする。
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