内閣府は12日、経済財政に関する最新の中長期試算を臨時閣議に示した。実質成長率が2%以上となる「経済再生ケース」でも、2020年度の基礎的財政収支は9.4兆円の赤字となる。昨年夏の試算(11.0兆円)と比べれば小幅に改善したが、それでも巨額の赤字が残る。政府が20年度に目指す基礎収支の黒字化には大胆な歳出歳入の改革が欠かせない。
経済財政の中長期試算は毎年2回試算する。半年前に比べ20年度の基礎収支赤字が縮小した理由について、内閣府は(1)足元の税収が好調(2)15年度予算で当初見込みより歳出が圧縮されている――ことを理由に挙げた。
従来「参考ケース」としていた低成長シナリオを今回は「ベースラインケース」と位置づけ、実質成長率1%弱、名目成長率も1%半ばと堅めの想定で試算した。その場合、20年度の基礎収支は16.4兆円の赤字となり国内総生産(GDP)比で3.0%になった。消費税を再び引き上げても、基礎収支は15年度の赤字(16.4兆円)から改善しない結果となった。