安倍晋三首相は12日午後、第189回通常国会の衆院本会議で施政方針演説に臨んだ。経済政策などに関する演説の主なポイントは以下の通り。
【農協改革】
▽農業協同組合(農協)法に基づく現行の中央会制度を廃止し、全国農業協同組合中央会(JA全中)は一般社団法人に移行
▽農業委員会制度の抜本改革に踏み込み、耕作放棄地の解消、農地の集積を加速
▽農業生産法人の要件緩和を進め、多様な担い手による農業への参入を促す
▽コメの生産調整(減反)の廃止に向けた歩みをさらに進める
【成長戦略】
▽環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の早期妥結を目指す
▽欧州との経済連携協定(EPA)は2015年中の大筋合意を目指し、交渉を加速
▽法人実効税率を2.5%引き下げ、35%近い現行税率を数年で20%台まで引き下げる
▽医療法人に外部監査を導入し、経営の透明化を進める。異なる機能をもつ複数の医療法人の連携を促す新たな仕組みを創設し、地域医療の充実に努める
▽電力市場の基盤インフラである送配電ネットワークを発電・小売から分離。ガス事業でも小売りを全面自由化
▽原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた原子力発電所の再稼働を進める。長期的に原発依存度を低減させ、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入を進める
▽全国に水素ステーションを整備し、燃料電池自動車の普及を加速
▽温室効果ガス排出の新しい削減目標と具体的な行動計画を早期に策定
▽専門性の高い仕事では、時間ではなく成果で評価する新たな労働制度を選択できるようにする
【経済再生と財政健全化】
▽デフレ脱却を確かなものとするため、消費税率10%への引き上げを18カ月延期し、2017年4月から実施
▽15年度予算は基礎的財政収支の赤字半減目標を達成。2020年度の財政健全化目標も堅持し、夏までに達成に向けた具体的な計画を策定
【女性活躍推進】
▽「女性活躍推進法案」を再提出し、早期成立を目指す
【地方創生】
▽本社など拠点を地方に移し、投資や雇用を拡大する企業を税制で支援
▽地方からの提案をもとに規制改革を進める「地方創生特区」を新設
〔日経QUICKニュース(NQN)〕