埼玉県所沢市で市立小中学校へのエアコン設置の是非を問う住民投票が15日あり、賛成が反対を上回る結果となった。投票結果を受け、藤本正人市長は16日、記者会見を開き、「財政配分を考慮しながら、まっさらな状態で検討する」と表明した。市長はこれまで設置に否定的な立場だった。
検討期間については、自身の任期である今年10月末までに判断する考えを示した。
住民投票の賛成票は5万6921票、反対は3万47票。同市の住民投票条例には、賛否いずれかが「投票資格者総数の3分の1以上に達したときは、その結果の重みを斟酌(しんしゃく)しなければならない」とある。投票率は31.54%にとどまり、条例上の目安に達しなかったが、藤本市長は、賛成票が総投票の6割を超えたことを尊重する考えだ。
同市では付近にある入間基地の騒音対策として、市立小中学校のうち29校が密閉性の高い窓を採用。基地から近い学校などから、夏場の暑さや窓を開けた際の騒音に対する苦情の声が上がり、保護者らが「学習権の侵害」として住民投票を実現させた。