ごみとして海に流れ込んだ後、紫外線や波により5ミリ以下の大きさに砕かれた微細なプラスチックが、多量に東京湾に浮遊しているとの調査結果を、東京農工大の高田秀重教授(環境化学)が19日までにまとめた。これらは「マイクロプラスチック」と呼ばれ、最近、食物連鎖を通して生態系全体に及ぼす悪影響が懸念されている。
高田教授は「私たちが食べている魚介類も餌と間違えてのみ込んでいる可能性がある。ただちに健康被害があるわけではないが、プラスチック生産量は増加傾向にあり、廃棄物の管理強化が求められる」と話している。
高田教授は2013年6月、東京湾の岸から十数メートル離れた2カ所を調査し、ボートを数百メートル走らせて海面に浮く落ち葉やプランクトンなどを網ですくった。
拡大鏡で調べると、約0.3~5ミリの大きさの緑や白色などのプラスチックが約千個見つかった。海水1立方メートル当たり24個で、レジ袋やペットボトルのふたに利用されるポリエチレンでできたものが多かった。
付着物から、発がん性や生殖機能の低下を起こすと指摘される「ポリ塩化ビフェニール」と、甲状腺機能に悪影響がある「テトラブロモジフェニールエーテル」という化学物質が検出された。
いずれも毒性があり分解しにくいため、日本も締結している残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約で使用が禁止されている。規制前に廃棄され海底に蓄積していたのを吸着したとみられる。
高田教授は05年に北海道大と共同で実施したベーリング海での調査で、海鳥12羽全ての胃からプラスチックが見つかり、脂肪からも成分を検出したことを明らかにし、食物連鎖でプラスチックが体内に取り込まれる危険性を指摘している。〔共同〕