東京都港区で2006年6月、都立高2年の市川大輔さん(当時16)がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた製造元のシンドラーエレベータ元課長、原田隆一被告(46)ら4人の公判が19日、東京地裁(杉山慎治裁判長)であり、弁護側が最終弁論で無罪を主張した。事故から8年以上が過ぎた長期裁判は結審し、杉山裁判長は判決日を9月29日に指定した。
保守管理を怠ったとして、ほかに事故時の保守点検会社「エス・イー・シーエレベーター」の会長、鈴木孝夫被告(71)ら3人が起訴された。
弁護側は最終弁論で「ブレーキの異常な摩耗を示す客観的な事実は一切なかった」として、全員の無罪を主張。最終意見陳述で原田被告は「事故の原因は私たちにはない」と述べ、鈴木被告も「大変痛ましい事故だが法的な責任はない」と述べた。
検察側は「事故を予想できたのに対策を取らなかった」として原田被告と鈴木被告に禁錮1年6月を求刑するなどしている。エレベーターの複雑な構造を解明するため捜査は難航し、公判前整理手続きも長期化。13年3月にようやく公判が始まった。