【ワシントン=矢沢俊樹】イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は24日の上院銀行委員会での議会証言で、米利上げ時期を探る市場の観測が偏らないように周到に言葉を選んだ。はっきりしたのは、利上げ決定は最短で6月中旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)になるという点。ただ今後の政策運営も丁寧に説明し、市場が過剰反応しないように利上げへの地ならしは着々と進めている。
議会証言の冒頭声明でイエレン議長は3、4月の2回のFOMCでは利上げ判断は難しいとの見解を示した。そのうえで「適切な時期が来れば、すべてのFOMCで利上げできる」と指摘。4月の次の6月会合のほか、議長の記者会見がない7月のFOMCでも利上げ決定は可能との認識を示した。
議長は、市場が次回3月のFOMC声明の変化に注目していることを念頭に「利上げ前には声明を修正するが、その後2回以内の会合で利上げするとは限らない」とクギを刺した。声明の修正で市場に早期利上げの臆測が広がるのを事前に防ぐ作戦だ。
市場では議長が「なお改善余地がある」と指摘した米雇用情勢に加え、日欧や新興国経済の動向が実際の利上げ判断のカギを握るとの見方が出ている。議長は25日の下院での証言でも「経済全般を注視している」などと語った。