【ニューヨーク=佐藤大和】米保険最大手メットライフとかつての最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の双方で最高経営責任者(CEO)を務めたロバート・ベンモシェ氏が27日、肺がんのため死去した。70歳だった。
大学卒業後、米陸軍や証券会社を経てメットライフに入社。1998年にCEOに昇格し、株式会社化や上場を実現した。
2006年に引退していたが、世界金融危機を引き起こした「戦犯」と批判を浴びていたAIGの再建役としてオバマ政権にスカウトされた。「かつてのライバルの惨状は忍びない」として09年にCEO就任を受諾。巧みな経営手腕とリストラでAIG復活の立役者となり、1800億ドルの公的資金を完済したうえで、200億ドルの利益を国庫にもたらした。
190センチ超の巨体にほおひげという威容の同氏は、AIG在籍中からがんを患っていた。昨年秋のCEO退任時のテレビ出演で「残念ながらみなさんの前に出るのはこれが最後だ」と話していた。