1995年の公証役場事務長拉致事件の逮捕監禁罪など3罪に問われたオウム真理教元幹部、平田信被告(49)の控訴審判決で、東京高裁(八木正一裁判長)は4日、懲役9年とした一審の裁判員裁判判決を支持し、被告側控訴を棄却した。
平田被告側は控訴審で「(拉致などの)計画を知らなかった」と改めて主張し、刑が重すぎると訴えていた。
八木裁判長は判決理由で「平田被告は事前に説明を受けていた」とし、事前の共謀があったと認定。共犯者より不当に刑が重いとする弁護側の主張について「共犯者は15年以上前の職業裁判官だけで判断した量刑。裁判員制度で一般国民の視点を取り入れて改めて事件を見直し、重い刑が相当と判断することは不当ではない」と述べた。
一審・東京地裁の裁判員裁判は昨年3月、目黒公証役場事務長、仮谷清志さん(当時68)の拉致事件や都内のマンション爆破事件について、平田被告が計画を知ったうえで関与したと認定。検察側の懲役12年の求刑に対し、懲役9年の判決を言い渡した。
平田被告は控訴審の被告人質問で改めて被害者に謝罪し、教団に出家する前の貯金を賠償に充てるとした。
一、二審判決によると、平田被告は95年2月、仮谷さん拉致事件で車の運転手や見張り役を務めたほか、同年3月の地下鉄サリン事件前夜に起きたマンション爆破事件や、教団東京総本部ビル火炎瓶投げ込み事件に関与した。
仮谷さんは拉致後、教団施設に監禁され、大量の麻酔薬を投与されて死亡した。
平田被告は約17年にわたり逃亡した後、2011年12月31日に出頭し、逮捕・起訴された。地下鉄サリン事件で殺人罪などに問われ、東京地裁で審理が続いている元信者、高橋克也被告(56)の裁判員裁判に証人として2回出廷。証人尋問で「私としては私の判決の内容が理解しがたい」などと、自身の一審判決への不満をあらわにする場面もあった。